契約書で見落としがちな重大ポイント10
契約書を訂正・変更する方法

契約書で見落としがちな重大ポイント10
契約書を訂正・変更する方法

契約書で見落としがちな重大ポイント10 契約書を訂正・変更する方法

契約書は、一度作成されても、その後何らかの事情で内容を訂正したり変更したりする場合があります。

こうした場合、きちんとした方法で行わないと、後で思わぬトラブルが生じてしまう可能性があります。

契約書を訂正する場合や変更する場合も、最初に作成する時と同じくらいの注意を払って行うようにしましょう。

1.まず、そもそも訂正や変更が必要な場合かを確認する

訂正や変更の方法を述べる前に、まず、そもそも訂正や変更が必要な場合かを確認することが必要です。

というのも、場合によっては、わざわざ契約書の記載まで変更する必要がない場合があり得るからです。

例えば、契約当事者の名前(社名)、住所が変わった場合、一見契約書の訂正が必要と思えますが、法的には不要なのです。

なぜなら、名前や住所が変わったとしても、当事者が別人、別会社になるわけではなく、また、契約当時はその名前、住所であったことは事実ですから、わざわざ契約書の記載を変更する必要は無いのです。

むしろ、なまじ名前や住所だけ変更してしまうと、かえって混乱のもとになります。例えば、令和5年1月1日付でA社・B社間の契約書が交わされ、その後令和5年3月1日にB社が「BB社」に社名変更した場合、契約書のB社の表記を「BB社」にしてしまうと、令和5年1月1日にはBB社という会社は存在していないにもかかわらず、契約書上は存在しない会社と契約をしたことになってしまい、後から見直した際に、誤解や混乱を招く危険性があります。

したがって、こうした場合は契約書の訂正や変更は不要ですが、社名変更になったことを示す資料等を契約書と一緒に保管するなどして、後から分かるようにしておくと良いでしょう。

2.【契約書の訂正】変更方法① 訂正印を使う方法

では、具体的な訂正、変更方法を見ていきますが、一番オーソドックスなのは、訂正印を使う方法です。

訂正印とは、その名の通り、契約書の内容を訂正するための印鑑のことですが、例えば以下のように、訂正する箇所を二重線で消し、訂正後の内容を付近に記載し、訂正前と訂正後の内容に少し被る形で印鑑を押します。

訂正印を使う方法

3.【契約書の訂正】変更方法② 捨印を使う方法

捨印とは、契約書の余白等にあらかじめ印鑑(※契約当事者全員の分が必要)を押しておき、訂正があった場合に、本人以外の契約相手方や代理人でも訂正できるようにするための印です。

具体的には、まず訂正箇所に二重線と訂正後の内容を記載し、その上で捨印の付近に、「○文字削除」「〇文字追加」という具合に記載します。

例えば以下のような形となります。

捨印を使う方法

4.訂正印や捨印の注意点

4-1.訂正箇所が多い場合は「覚書」や「契約書の再作成」の方が良い

訂正箇所が多い場合は、二重線や訂正印だらけで契約書が見にくくなってしまうので、その場合は、後述する「覚書」や「契約書の再作成」という形にした方が良いです。

4-2.将来に向かって変更する場合は、訂正印や捨印は使えない

訂正印の例で、例えば「今月までは1か月あたり10万円で良かったけど、来月からは15万円に変更したい」という場合、訂正印や捨印を押して内容を訂正してしまうと、最初から「1か月あたり15万円」ということになってしまいます。

このような「将来に向かって変更する場合」は、訂正印ではなく、後述する、「覚書」や「契約書の再作成」という方法で対応することになります。

4-3.捨印はリスクがあるので、あまり良い方法ではない

捨印は、上記の通り、自分以外の者による訂正を可能にしますので、勝手な訂正を加えられてしまうリスクがあります。

また、逆に自分が捨印を利用して契約書を訂正した場合、契約相手から「そのような訂正に同意した覚えはない」と言って争われるリスクもあります。

捨印は、訂正印と違って、訂正箇所に直接押印されるわけではないので、必然的に、訂正に関する意思の有無が争いになるリスクを孕んでいますので、よほど緊急の場合で、かつ争いになる可能性がまず無い場合以外は、用いない方がいいでしょう。

5.【契約書の訂正】変更方法③ 覚書を作成する方法

次に、覚書を作成する方法があります。

すなわち、別途の書面を作成し、そこに訂正または変更する事項を記載し、契約書と同じように当事者の署名押印をして完成させる方法です。

例えば以下のような形です。

    覚書

    A株式会社(以下「甲」という)とB株式会社(以下「乙」という)は、甲乙間で令和〇年〇月〇日に締結した「業務委託契約書」(以下「本契約書」という)につき、以下の通りの変更をすることを合意する。

    第1条 本契約書の第1条について

    (変更前):東京都内での甲の製品の販売及び営業活動

    (変更後):神奈川県内での甲の製品の販売及び営業活動

     

    第2条 本契約書第3条について

    令和5年○月以降につき以下の通りとする。

    (変更前):1か月あたり10万円

    (変更後):1か月あたり15万円

     

以上の通りですが、これはあくまで一例であり、特に決まった文章表現や書式があるわけではありません。

契約書につき、どのような訂正、変更を行うのか、が明確に記載されていれば大丈夫です。

また、覚書は、契約書と同じように、当事者の合意事項等の必要事項が記載されていれば良いので、書面のタイトルは別に「覚書」でなくても構いません。「合意書」とか「契約書変更書」というようなタイトルでも大丈夫です。

6.【契約書の訂正】変更方法④ 契約書を作成し直す方法

最後に紹介するのは、契約書そのものを作成し直す方法です。

これは、訂正や変更する事項が多すぎて、契約書を最初から作り直した方が早い場合等に用いられる方法です。

最も直接的な方法と言えますが、注意点としては、この方法だと同じ契約書が2種類存在することになるので、新しい契約書の冒頭部分等で、「甲と乙は、甲乙間の令和〇年○月〇日締結の〇〇契約書記載の事項は無効とすることを確認する」等、古い契約書はもはや無効であることを記載した方が良いでしょう。

7.弁護士に相談を

契約書を変更したり訂正したりする場合、どのような方法が適切か、また法律上はどのような問題点があるか、相手方が拒否した場合はどうするのか、といった問題が多々生じます。

そうした問題点に適切に対処するためにも、ぜひ弁護士等の専門家に相談することが有益と言えます。

8.おわりに

いかがでしたでしょうか。

契約というのは、一度締結すればそれで終わりというものではなく、当事者をめぐる様々状況や社会情勢の変化に柔軟に対応して、その都度適切な内容かどうかをチェックして、アップデートしていくべきものです。

その際は契約書の訂正や変更が必要となりますので、本稿の内容を参考し、また必要であれば弁護士に相談しながら適切な対応をし、より良いビジネスにつなげていただければと思います。

法律的な問題・疑問をいつでも、どんなことでもお気軽にチャットでご相談頂けます。
リーガルコネクトでは、ご相談頂いた内容に、原則24時間以内にご回答いたします。

関連コラム

法律的な問題・疑問をいつでも、どんなことでもお気軽にチャットでご相談頂けます。
リーガルコネクトでは、ご相談頂いた内容に、原則24時間以内にご回答いたします。