建築条件付土地の売買を成功させる3つのポイント
建築条件付土地の売買を成功させる3つのポイント
建築条件付きで土地を売り、建築契約を結んでもらうために頑張ったのに、結局気に入ってもらえなくて、締結に至らず、結果、土地の売買契約までなかったことにされてしまったことってありませんか。
ユーザーと何度も打ち合わせ、要望が変わるたびに何枚も図面も引いたのに、結局、「この土地では希望の家は作れない」と言われて契約してもらえず、あげく、手付けも返さなければいけないばかりか、すべてタダ働きなんて、本当にやってられないという気分になりますよね。
しかし、建築条件付土地は、あくまで、建物の建築請負契約を結ぶことが条件ですから、そこまでたどり着けなければすべて瓦解して水の泡となってしまうことは仕方のないことなのです。
それでも、建築条件付き土地の売買が行われるのは、売る側にもそこに大きなメリットがあるからなのです。ここでは、このメリットを維持しつつ、無事に決済までこぎ着けるためにはどうしたらいいかをお伝えしたいと思います。
なお、この解説は、建築条件付土地を販売する業者側の立場で書いております。お買い上げになるユーザーの方は、この反対の立場にあることを考えてお読みください。
目次
建築条件付土地とはなにか
「建築条件付土地」とは、売主(あるいはその指定する会社)と、買主との間で、一定期間(通常は3ヶ月程度)の間にその土地上の建物の建築請負契約を締結することを条件として契約する売買契約をいいます。
建売住宅の売買は、あくまで住宅の売買ですが(むしろ、土地が着いていると思った方がよい)、建築条件付土地の売買は、あくまで土地の売買です。
土地の売買契約に建物の請負契約の締結が「条件」となっているわけですから、この建物の請負契約が締結できなかった場合には、「条件」が成就されなかったことにより、土地の売買契約そのものがはじめから無かったことになってしまいます。売買契約は白紙となり、支払った手付けなどは全て返還されることになります。法的には、条件が成就することが、売買契約の効果発生の要件になっている、言い換えれば、条件成就まで効果の発生が停止している事から、これを停止条件付の契約といいます。
建築条件付土地の売買をするメリット
建売住宅であれば、基本は「建物」の売買なのですから、建物自体が商品として特定されていないと行けません。どんな建物なのか、決まっていなければ、消費者も選びようがないということです。売買契約の時点で既に建物の仕様はあらかじめ決まっていて、建築確認もとってあり、建築に着手していることが普通です。
しかし、これだと、建物の仕様はもう大筋決まっていますから、買い手は自分の好みに合わせて変更を加えることがあまりできません。買い手にとってみたら、一生に何度もない自分の住まいの購入なのですから、自分の好きな家を建てたいと思うのは当たり前です。それを突き詰めればまず土地だけ購入して、あとから、どんな建物を建てるか、どこの建築業者に頼むかもゆっくり決めようとなってしまいます。それでは、建築業者側は利幅の薄い土地だけの販売しかできず、商売になりません。
もちろん、注文住宅の建築販売をウリにしている業者もあります。ただ、それは、特殊な工法だったり、あるいは、相当程度会社の名前が売れていて、ブランドとして成立していないと、なかなか消費者に目を向けてもらうことはできません。そこで、自分好みの家を建てたいという、ユーザーの希望をかなえながら、土地の販売だけではなく、建物の建築をも含めたビジネスをしたいという、建築業者側の利益をはかることを工夫してできたのが、「建築条件付」土地の売買契約なのです。特に、価値の高い土地であれば、まず土地の価値でユーザーを引きつけることが出来ます。さらに、建築の請負契約も手に入れ、利幅の大きい商売ができるという大きなメリットがあるのです。
建築条件付土地の売買の問題点
ところが、この契約形態は、土地の売買と建物の建築請負という、二つの契約を合わせて行うことを求めるものですから、法的には、独占禁止法が禁ずる「抱き合わせ」販売に該当する可能性があります。
そのため、土地の売買契約と同時に建物の請負契約を締結することは避けねばなりません。しかし、必ず建物の建築をさせてもらえないと困りますので、一定の期間内に、建築請負契約を締結することが条件として土地を売ることになります。ただし、「条件」ですから、何らかの理由で、期限内に建築請負契約が締結されなかった場合には、土地の売買契約は白紙解約されてしまうのです。
その結果、手付けを返還するどころか、契約締結前の準備行為ですから、建物の建築の内容を定めるための営業活動もすべてタダ働きとなってしまうことになります。
例えば、ユーザーとあれこれ相談して、何度も図面を引き直し、やっと方向性が決まって、請負契約締結直前に、ユーザーが、やはりこの土地では思うような建物が建たないから、建築請負契約は締結しないと言ってきて解約となった場合、手付けを返さなければいけないのは当たり前ですが、さんざん苦労して引いた図面の設計料すら取れないことになってしまうのです。
建築条件付土地売買の成功を阻む壁
こうなってくると、何としても、建物の請負契約を期間内にとりつけないと全てが水の泡になってしまいますが、これがなかなか難しい場合があるのです。
ユーザーはあくまで、自分好みの家を建てたいという要望を持っていますから、まずこれを満足させなければいけませんが、土地の面積、形状などから考えて、ユーザの希望に添えない事態が出てきます。そうなると、土地の価値という牽引力が高ければ、設計内容を譲歩するということはできますが、そうでない場合には、建築請負契約をあきらめ、結果、土地そのものの購入を見限られてしまうのです。
建築条件付土地の売買を成功させる3つのポイント
ポイント1
まず、建築請負契約が成立できなければ、何もかも水泡に帰すという、この契約の問題性を十分認識して緊張のもとに営業活動をすることが求められます。ユーザーと綿密に連絡をとり、1人で悩ませない事が大切です。ユーザーが何に悩み、何を求めているのか、リアルタイムで知っておく努力を怠ってはいけません。
ポイント2
それでも、ユーザーが特殊な要望を持っていた場合には、結局対応は不可能になってしまいます。そうならないためには、あらかじめ募集の際に、ある程度建物の仕様を決めて打ち出しておくことが肝要です。
もちろん、「この設計仕様以外だめ」というような横着した設計仕様を打ち出してしまったら、そもそも「好きな家を建てたい」というユーザーに嫌われてしまいますから、商品としての広告メリットがありません。しかし、ユーザーの意向通りに作っては消し、作っては消し、あげく契約締結に至らず終わるのでは、全く無駄骨になってしまいます。
双方のバランスをとるには、建物について、いくつかの推奨パターンを決めて打ち出しておくことと、その土地であれば是非おすすめの建物の仕様を用意しておくことです。逆に言えば、この土地ではこういう建物はおすすめできない、限界がある、というような限界線を明らかにしておくこともいいでしょう。契約締結にいたらない理由に「この土地では自分の満足のいく建物が建たない」というものがよくありますので、そもそもこの土地では何ができて何ができないかをよくユーザーに知らしめることが必要なのです。
ポイント3
最後に、気をつけるべきは時間との闘いです。この契約は性質上、通常1ヶ月から、3ヶ月の期間で建物の請負契約を締結することが要求されています。時間的にはとってもタイトなのです。
その限られた時間の中で、ユーザーの心をつかむ提案力を高めることが必要なのです。設計書も仕様書も要望があれば、可能な限り、早期に仕上げて再提示する必要があります。この期間は総力戦と思っておくことが大切です。
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