民法の改正で躓かないためのポイント
え? 民法改正されたのに、うち関係ないの?
民法の改正で躓かないためのポイント
民法が改正されたと聞いたけど、うちの会社には関係ないの?の疑問に、よくある質問から抜粋してご説明いたします。
目次
民法の改正
ご存じの方も多いと思いますが、民法という法律が、この度大幅な改正をされ、昨年2020年4月1日から施行されています。
民法は、民事つまり民間同士のルールを定めた、基本的な法律ですので、その改正は、私達の日常生活はもちろんのこと、会社の業務にも重大な影響を及ぼしています。
改正された箇所はいろいろありますが、まず最初に押さえておくべきポイントは何だと思いますか?
そう、「改正された民法がそもそも適用されるかどうか」という点です。
「え? 改正法が2020年4月1日から施行されているんだから、今はもう当然適用されるんでしょ?」
と思われるかもしれませんが、実はそれは大きな間違いなのです。
場合によっては改正された民法ではなく、改正前の民法が適用されることがあるのです。というより、改正されてから1年ちょっとしか経っていない現在においては、むしろ改正前の民法が適用される場合の方が多いかもしれません。
いずれにしても、適用されるのは改正法か、それとも改正前のものか、を間違えてしまうと、重大なトラブルや不測の損害を招くことになってしまいます。
なにせ適用される法律を間違えてしまうのだから当然ですよね。
そのような事態を防ぐためにも、こうした点をしっかり押さえておきましょう。
改正民法の適用と実情
では、どのような場合に改正民法が適用されるか、についてですが、大まかな目安として、
その契約や取引を締結したのが、2020年4月1日以降か、そうでないか、
という点が挙げられます。
上記の通り、2020年4月1日に改正法が施行されていますから、2020年4月1日以降に締結された契約については、改正民法が適用されます。
逆に言えば、2020年3月31日以前に締結された契約は、改正前の民法が適用されるのです(民法附則34条1項)。
例えば、民法上の法定利率について、改正前は年5分つまり年5%の割合でしたが、改正後は年3分つまり年3%となりましたので、2020年4月1日以降に締結した契約の債務の法定利率は年3分となりますが、それより前に締結した契約の債務は年5分ということになります。
ただし、遅延損害金の法定利率は、契約日を基準にはせず、債務不履行(履行遅滞)となった時点が基準となります。つまり、2020年3月31日より前に契約を締結していても、債務不履行が4月1日以降なら、法定利率は年3分となります。
以上の通り、基本的には「契約締結日がいつか」によって変わってきますが、注意しなければならない場合の一つとして、「契約が更新を続けている場合」があります。
例えば業務委託契約で、2年間の契約期間であるが当事者から特に異議がなければ自動的に更新されるような場合です。
このような「契約更新」の場合、「契約の更新」とは更新の度に新たな契約が締結される」と解釈されるため、仮に契約締結が2020年3月31日以前であっても、更新時が2020年4月1日以降となっている場合は、改正民法が適用されるのです。
なお、不法行為については、不法行為が行われた時が令和2年4月1日以降かどうかで改正法が適用されるかどうかが変わってきます。
このように、改正民法が適用されるかどうかは、基本的には「契約締結日がいつか」「その権利が発生したのはいつか」という基準で判断されることになりますが、当然ながら例外もあります。
ですので、現在の会社の業務について、何らかのトラブルや問題を抱えている場合は、まず最初に「この場合、改正民法が適用されるのかどうか」という点についてよく確認し、場合によっては弁護士等の専門家に相談することも必要です。
民法に限りませんが、法律が改正されると、様々な局面で様々な問題が生じます。
そうした問題を極力防ぎ、不測のトラブルや損害を被らないよう、改正民法についてはよくよく注意する必要があると言えます。
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