多すぎる面会交流の頻度を変更する方法
離婚
目次
1.最新の統計データから見る「面会交流の頻度」
離婚後の面会交流は、同居していない親(非監護親)とお子さまとの定期的、継続的な面会などを通しておこなう親子の交流の機会を言います。
お子さまの福祉(心身の健全な成長)の側面が大きく、お子さまにとっての権利とも言えます。
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。
この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
参照 e-Gov法令検索
面会交流の条件を取り決めする際に問題となるのが、実施する頻度(回数)です。
定期的、継続的におこなうため、元夫婦間の実施負担や子供の成長に合わせて条件変更の見直しの必要性が生じることもあり、実施頻度で悩まれているケースがあります。
1-1.全家庭裁判所のデータから「月1回」が最多
最高裁判所事務総局が公表しているデータによれば、家庭裁判所で扱われた面会交流事件のうち約63%が「月1回」の頻度の面会交流の取り決めをしています。
次に多いのが「2、3か月に1回以上」でその割合は約16%です。
実に8割近くの方は月1回以下の頻度で面会交流を実施していることが分かります。
1-2.面会交流の頻度は事情に応じて決める
面会交流の頻度などの条件は、父母が話し合って決めます。
ただ、「納得できる条件で合意できない」場合や、「話し合い自体ができない」場合には、後述する家庭裁判所の「調停」という手続きを利用して決めることもできます。
また、一度決めた面会交流の条件でも、その後に事情の変更がある場合には、その条件変更は可能です。
面会交流の条件変更ができるケース(一例)
- 子どもの成長にともなう環境変化で、従前の条件どおりの実施が難しい
- 中学生になり面会交流を子供自身が拒否している
- 監護している親が再婚し、面会交流を継続することで子どもが新しい生活環境に馴染めない
- 再婚相手との結婚、遠方に引っ越して従前の条件通りの実施に大きな負担がある
子供が習い事や通塾など生活状況が変化や、年齢や発達に応じて条件変更をする場合もあります。
この事情変更には、親の身勝手な都合、たとえば「面会交流が面倒」「不倫・浮気が原因で離婚したのに、子供に会いたいなんて勝手だ。会わせたくない。」などは含まれません。
あくまで、お子さまの福祉のためにおこなわれるということを忘れてはいけません。
なお、例えば「子供が連れ去られる可能性」がある、「婚姻時にDVやモラハラなど虐待があり暴力が振るわれる可能性」がある場合には、「子供の福祉」の観点から面会交流を拒否することができることがあります。
ただ、そのような正当な理由や特別な事情もなく、面会交流を制限し拒否している場合には、相手方から家庭裁判所に面会交流を求める調停が申し立てられる可能性があります。
1-3.面会交流は「直接会う」以外の方法もある
直接会うことだけが面会交流ではありません。
たとえば、ビデオ通話や手紙・メッセージを通しておこなう親子の交流自体も「間接交流」として面会交流に当たります。
お子さまの気持ちや成長を考え、負担とならないよう面会交流の条件を決めることが大切です。
なお、面会交流は非監護親にとって、お子さまと交流できる貴重な機会です。
面会交流を求める非監護親が養育費を支払う側である場合、お子さまとの機会を奪われるようなことがあれば、養育費の支払いをためらう可能性もあります。
面会交流についてお互いに決めなければいけないことも、親の感情面の対立が激しいとお互いに譲らず、条件が何も決まらない場合もあります。
しかし、養育費や面会交流はお子さまのための権利であり、お子さまの意見や福祉を最優先に考えてしっかりと決めておくことで、離婚後にトラブルとなるリスクを減らすことができます。
2.面会交流の頻度を変更する方法
一般的に面会交流の条件は、次の項目について取り決めをすることがあります。
面会交流の条件
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面会交流の実施方法(直接面会、手紙など)
- 頻度(毎月1回など)
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面会時間(1回あたり2時間程度、など)
- 実施期間(成人・18歳になるまで、など)
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面会場所(相手の自宅、面会交流のサポートをおこなう第三者機関など)
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面会交流実施の際の連絡方法(弁護士、第三者機関を介しておこなう、など)
- 面会交流実施時の子どもの受け渡し方法
このほか、誕生日プレゼントを贈る、学校行事への参加、祖父母との交流はできるか、直接子供と電話やメールのやり取りをすることは良いのか、宿泊・旅行まで許すのか、面会交流実施にともなう交通費などの費用負担をどうするのかなどのルールについて取り決めすることもあります。
事情変更が生じた場合、離婚時に決めた面会交流の条件の変更を請求することは可能です。
次に、どのように変更を求めていくかについて解説します。
2-1.話し合い
まずは親である監護親と非監護親との間で、話し合いによる条件変更が可能かを検討します。
お互いに新しい生活環境のなかでおこなう話し合いは、思うように進まないことがあります。
普段の生活が見えない中で、相手の考えや事情(現状)が分からず、一方通行の要求となり感情面での対立が起きる可能性が高いと言えます。
面会交流の機会を求める側からすれば、「子供に私の悪口を言い聞かせているのではないか」「きちんと養育できていないのではないか」などの疑いを生みやすく、面会交流の負担を減らしたい側としては、「子どもの負担や気持ちをもっと考えて欲しい」「やっと慣れてきた新しい生活を守りたい」と思われるかもしれません。
冷静な話し合いが難しい場合には、弁護士を第三者として間に立てることも検討しましょう。
面会交流の条件を再変更し、法律上有効な書面の取り交わしをおこなうことができ、スムーズな協議が期待できます。
話し合いが思うように進まない場合には、弁護士の法律相談を利用するのもひとつです。
ひとりで抱えるよりも、客観的に何ができるのか、要求できるのか考えを整理することで、不安を安心に変えることができるかもしれません。
2-2.面会交流調停
話し合いによる条件変更が難しい場合には、家庭裁判所の面会交流調停の利用を検討します。
正式な手続き名は「子の監護に関する処分(面会交流)調停事件」と言います。
なおこの手続きは、離婚前、別居中でも利用が可能です。
離婚前であれば一緒に暮らしていない親も親権者であり、面会交流は認められる可能性は高いです。
調停手続きは、調停委員と呼ばれる第三者をまじえた家庭裁判所での話し合いです。
権利を主張し、戦わせる裁判とは異なります。
調停が開かれる日を「調停期日」と言います。
調停期日当日の流れは、まず父親、母親は別々の控室で待つことになります。
その後、交互に調停室に呼ばれ、経緯や主張を伝えます。
そのため、基本的にはお互いに顔を会わせることはありません。
調停はお互いを取り持つ調停委員だけではなく、家庭裁判所調査官も立ち会うことがあります。
家庭裁判所調査官は、裁判官の調査命令をうけて、子供の生活環境や子供の意向などを調査し「調査報告書」の形でまとめます。
子供が一定の年齢(10歳~)に達している場合、自分で物事の判断ができると考えられていて、その意見は尊重されます。
こうした調査報告書や子供の意見も踏まえて、面会交流の実施回数や日時などの取り決めについて裁判所からの助言などを受けつつ話し合いを進めていきます。
面会交流の条件変更に合意ができれば、調停成立となり手続きは終了します。
その際、調停調書が作成され、合意した内容が記載されます。
ただ、条件変更に合意できず不成立になった場合は、審判手続きに移行します。
2-2-1.調停後に面会交流を守らない場合
家庭裁判所の調停や審判で取り決めをした面会交流が実施されない場合、家庭裁判所の①「間接強制」と呼ばれる強制執行の方法や、②「履行勧告の申出」の利用を検討します。
間接強制とは、「面会交流が実施されないとき、1回あたり〇万円を支払え」などのお金の負担を課すことで、心理的にプレッシャーを与え間接的に面会実施をうながすことを言います。
間接強制の金額は、個別の事情により異なります。
子供と一緒に過ごす監護権者が高額所得者であるような場合には、1回あたりの金額は高額となります。
おおよそ、数万円が相場と言えそうです。
履行勧告は、調停や審判で決めた内容を守らない場合に、家庭裁判所がその義務を果たすよう勧告する制度です。
無料で利用することができます。
ただ、これらの方法をもってしても、お子様を面会場所に無理やり連れてきてくるなどして面会交流を実現させることはできません。
2-3.面会交流審判
調停不成立の場合に、自動的に審判に移行します。
別途、審判の申し立ては必要ありません。
裁判官は、調停の中で提出された主張書面や書証(書面による証拠)などをふまえて、面会交流の審判(判断)をおこないます。
審判手続きは、双方において主張する機会はありません。
裁判官が、子供の利益を考えて判断をおこないます。
そのため、ご自身が思うような条件変更にはならない可能性があるため注意が必要です。
3.調停や公正証書で決めた後も面会交流の回数は増減変更できる
面会交流の条件を、協議離婚で決めて公正証書で作成した場合や、離婚調停で決めていた場合でも、事情変更に応じて当事者間の話し合いで再度変更することは可能です。
お子様の成長に合わせて、将来面会交流の条件を変更することが予想される場合には、あらかじめ「子どもの成長に応じて、面会交流の条件変更の必要が生じた場合には、誠実に協議する」などの取り決めをしておくと良いでしょう。
この場合、将来の話し合いに備えて、元配偶者やお子様との良好な関係性を維持できるよう配慮することも重要です。
なお、のちのトラブルを避けるため条件変更をした場合には、口約束で済ませず、書面にしておくことが大切です。
4.面会交流の頻度変更(まとめ)
面会交流の条件を詳細に決めると、内容に縛られすぎて負担になることがあります。
反対に、おおまかに決めておくと、お互いの認識違いから争いになることがあります。
お子様が健全に成長していくための面会交流権は、その条件の取り決めは難しい問題です。
離婚協議後、調停離婚後の元夫婦間で話し合いによる面会交流の条件変更が難しい場合は、弁護士までご相談ください。
弁護士によるサポートを受けることで、次の負担や不安を減らすことが期待できます。
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精神的負担の軽減
「当事者同士で直接交渉しなくていい」
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手続き負担の軽減
「交渉や調停手続き、書類作成などを任せられる」
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適切な解決が期待できる
「トラブル再発の防止を踏まえた、実務に応じた法的に有効な解決ができる」
弁護士に依頼すれば、面倒な相手方との連絡や交渉を一括対応いたします。
調停手続では、調停期日にはあなたと同席し付き添い、あるいは代わりに出廷します。
弁護士があなたの希望を踏まえて、調停委員などに確かで適切な主張をしていきます。
また、早期解決のための調停期日外での交渉や裁判所の書類作成・提出もおこなうので、手続きに悩まされることもありません。
定期的におこなわれる面会交流は、個別のご事情に応じて適切な内容で実施されなければ、新しい生活を過ごすうえで大変なストレスとなります。
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