相続について

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相続についての法の基本的な考え方

相続トラブル、なぜ起きる

世の中には、数多くの相続トラブルがあります。家庭裁判所でも、ご親族が大勢控え室で相談しながら待っている風景を目にします。話し合いでは解決できず、裁判所の力を借りざるを得ない事態が増えています。あなたは、自分のところは絶対大丈夫と思っていますか、それとも、揉めるのじゃないかなあと、予測されていますか、いかがでしょう。
では、どんな場合に、人は相続で揉めるのでしょうか。私は、相続トラブルの発生には2つの要因があると思っております。
1つ目のトラブルの起きる要因は、揉めるに値する財産があることです。当たり前のことですが、財産がなければ相続のトラブルは起きないのです。ただし、相続財産が現金だけであれば(相続税はすごいことになりますが、この話はいったん置きます)、法定相続分通りに分ければいいので、大きなトラブルにはなりませんが、どんなに小さいものであっても、不動産があると、総じて揉める事が多くなります。不動産は羊羹を切り分けるように分けることができませんし、人が住まうものであるだけに、思いもこもりやすく、合理性だけで分割する事が難しいのです。

しかし、財産があるだけで必ずトラブルになるわけではありません。2つ目の要因は、人間関係です。兄弟達の中で、それぞれが、他が親からえこひいきされていると感じて育っていたり、あるいは、親が男女を差別して育てた為に、男性女性の兄弟で考え方が別れ、男性側は嫁に行ったものが要求するなと言い、女性側は、男だと言うだけで、何もかも自分の者だというのは許せないと怒って…と言うような具合です。結局相続でトラブルになるのは、それまでの親族間の関係も良好ではなかった場合がほとんどなのです。相続発生によって急に仲が悪くなったりしたケースは少ないということです。
もちろん、相続発生まで仲のよい兄弟だったのに、相続発生から急に争い始めるケースもあります。しかし、それは根底に、何らかのゆがんだ感情が兄弟間にくすぶっており、相続によって火をふいたと考えた方が自然です。財産と、不幸な人間関係、これがトラブル発生の要因なのです。

相続トラブル、どうしたら未然に防ぐことができる

トラブルの発生要因が、財産と不幸な人間関係なのであれば、この2つを整理しておくことが防止策になります。まず財産については、透明性を維持することが肝心です。

どこからどこまでが相続財産なのかをきちんとしておくことです。もし、事前に分けたものがあれば、相続人ら全員がそれを認識できるようにしておくことですし、分け方についても、暖簾のように分けられないものは、今後の維持の仕方と、維持すべき責任者を指定し、現金や不動産のように分けられるものについては、分け方を指定しておくことです。そして、その方向性を事前にきちんと相続人となる者達に教えておくことです。そうでないと、遺言を書いておいても、それが逆にトラブルの引き金になる事すらあります。

次に人間関係ですが、単に仲良くしろというだけではダメです。兄弟(相続人)を公平に扱い、彼らが争うことなどないような人間関係作りをして将来に備えておくことが、先に逝く者の務めです。できれば、亡くなってから、遺言書が見つかってその内容に皆が仰天する、というような事態を招くことはさけ、もしもの事があった場合に、相続人達が力を合わせて、乗り切っていけるような人間関係を作っておくことが大切です。

利害関係の調整としての特別受益と寄与分

既に相続のトラブルが発生してしまっていたら、まず大切なのは、次の3つです。

1.きちんと情報を収集する

相続財産には何があるのか、誰が管理しているのか、遺言はあるのか、など、基本情報をしっかりつかむことです。

2.自分自身の要望をきっちり決める

法定相続分でいいのか、寄与分(相続財産の増加に尽力したことを評価して,相続分を増やしてほしいという言い分)の主張をするのか、はたまた、他の相続人の特別受益(相続前に既に利益を得ている人がいるので、その人は今回はその分遠慮してほしいという主張)を主張するのか、など、自分の態度をきちんと決めましょう。

3.税金の処理をきちんと念頭に置くこと

法律問題そのものではありませんが、相続税の観点から、税金の問題を抜きには語れません。10ヶ月の申告期限は割とあっという間に来ますので、ここをどう乗り切るかを税理士のアドバイスを受けながらきっちり押さえておきましょう。

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