内縁の夫の死後、その夫の不動産から立ち退くよう相続人らから請求された事案

内縁の夫の死後、その夫の不動産から立ち退くよう相続人らから請求された事案

性別:女性
年齢:70代
職業:無職
結婚歴:なし
子供:なし

目次

事案内容

事案の概要

相談者であるAさん(女性)は、Bさん(男性)と、30年にわたり、事実上夫婦として生活してきましたが、入籍はしておらず、二人の間に子供はいません。

Bさんが死亡し、Bさんの子供Cさん(長男)から、Bさんの名義である自宅から出て行くよう、請求されてしまいました。

Aさんは、妻としてご近所にも紹介されており、Bさんの妻として日常の全てを面倒みてきました。さらに、亡くなる前の3年間は、体調を壊しほぼ寝たきりになったBさんを自宅で懸命に介護しておりました。

戸籍上の長男であるCさんは、生前Bさんとは全く音沙汰がなかったのに、亡くなった途端に財産だけをよこせ、と請求をしてくることにAさんは納得がいかず、相談に見えました。

解決ストーリー

たしかに、AさんはBさんの実質的な妻であり、実に仲むつまじく、長年連れ添い、尽くしてきました。しかし、法的には婚姻していないことから、全く相続権はありません。反対に、どのように関係が希薄であろうと、Bさんのご長男Cさんは唯一の相続人となり、全ての遺産を相続してしまいます。家を明け渡せと言われればなすすべがありません。

さて、何とかAさんを救ってあげる道はないものかということで、調査したところ、介護施設に通っていた間の費用や、晩年車いすになったときに家のリフォームを行った費用がAさんの名前で支出されている事がわかりました。Bさんは病弱であまり蓄えがなく、むしろ元気だったAさんがBさんを支える関係であったことが幸いしました。

そこで、相続人であるCさんに対して、これらを相続債務であるとして立替金という名目で請求したところ、Cさんの方も弁護士に依頼し、弁護士同士で交渉をいたしました。

結果

  • Cさんに固定資産税と幾らかの賃料を支払うことと、Bさんのために支出した金額を請求しないことを条件に、存命限り使用貸借の合意を得ました。

解決期間

約3ヶ月

解決ポイント

Aさんとしては家が欲しいわけではなく、子供もおらず、もう70才になった自分の今後の老後を暮らしていくお金くらいはありますが、Bさんとの思い出のつまった家を出るのは悲しく、また荷物もたくさんあることから、明け渡しもそう簡単にはできませんので、存命限り使わせて欲しいということで若干の費用を払うことを提案しました。

Cさんとしても、今直ちに家の取得を急ぐ分けでもないですし、立て替えてきたお金を請求されるよりは、いくらかの賃料を受け取って見守った方がいいということになりました。そのため、最終的には、不動産の名義はCさんになりますので、固定資産税はCさん持ちになりますが、その金額をAさんがお支払いする事で合意し、余命を全うする限り一代限りの使用貸借の合意をし、その代わり、AさんはBさんのために支出した金額を請求しないという事で合意ができました。

弁護士からのアドバイス

内縁の関係のままで入籍をしないことは、その男女において、それぞれ事情があることと思います。しかし、内縁の妻には相続権はありませんから、何かあれば、自宅からも追い出されてしまいます。

このような事にならないために、財産をしっかり共有名義にしておくとか、遺言をのこしておく等の対策が必要でした。たまたま本件では、Aさんが元気で稼いでいましたから、支えてきたBさんに対する立替金として評価できるものが多くあり、交渉材料とすることができました。双方の要望がうまくマッチして解決できた事案でした。