夫のどこがよかったの?

夫のどこがよかったの?

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夫のどこがよかったの?

美人医師の夫はアル中だった

離婚の調停ではあまり相手方と直接会うことがありません。調停室には当事者双方は交互に呼ばれるので、成立の時くらいしかお互いを見ることがないわけです。ある事件で、当方依頼者は美人の女医さんですごくすてきな人であったことがありました。FENDIのスーツをさっそうと着こなし、髪は先端ひと筋にいたるまで計算されたカールを描き、ベンツに乗って現れるというエグゼクティブを絵に描いたような女性だったので、さぞかし夫の方も渋いロマンスグレーの素敵な紳士と勝手に思っていたわけです。

さて、どうにかこうにか話がまとまり、調停が成立ということで全員が調停室に入室したことで始めて夫の方を見たわけですが、アル中で手は震え、髪の毛はほとんどなく、体はぶよぶよに太っていて、頬はたるみ顔色は土気色(実際どこか悪かったようです)。唖然としてしまいました。
もちろんその調停で相手の外見が問題になることはないわけですから、私が驚いただけで調停はスムーズに成立したのですが、思わず帰り道に依頼者に聞いてしまいました。 「どこがよかったの?」彼女は大笑いして答えました。「やだ、昔はスポーツマンでかっこよかったのよ、アハハ。」と。なるほど、納得。

相手が望んだ結婚

しかし、最近、同様にこのような事態に遭遇し「どこがよかったの?」と聞いたときに依頼者からかえってくる返事が変化してきていることに気づきました。最近一番多いのは「うーん、好きだといってくれたしので」や「積極的にプロポーズしてくれたから」、そして「熱心に言い寄ってくれるので、思われて嫁ぐのが一番だと思っていた」等の相手が望んだからという意見が圧倒的多数を占めてきているのです。特に若い女性はほとんどがこのパターンです。驚くことに「わからない」という返事も事実としてあります。

先の女医さんの例は、あとから彼が落ちぶれてしまったわけで、少なくとも青春時代の自分が選択したこと自体を彼女は否定しているわけではないわけです。もちろん将来本当に長い目で見ての買い得物件かについては判断を誤ったんだと思います。その時点では自分なりに「スポーツマンタイプでかっこいい人がいい」という選択を貫いた訳です。それに引き替え、最近の若い女性の選択は自分の基準値でものを図るのではなく、相手の意見に押され、相手の情熱に流されというパターンが圧倒的に多い。

これらの違いで困るのが、次の一歩を踏み出すときに差が出ることです。先の女医さんの事例では将来の予測は誤ったが、自分の選択したことなので、後から生じた不具合を調整して離婚すれば、病巣を切り捨てることができ、自分自身に異常はないわけです。だから早めに新しい人生を歩んでいるし、今は新しい彼ができてそのベンツをプレゼントしたりしている。ところが、相手に望まれたからパターンの女性は、「あんなに好きだとか結婚してくれなんて自分で望んだくせに何でこんなことをするのか」、「何で浮気なんかするんだ」、「何で離婚したいなんて言うんだ」という感じで、思考が堂々巡りしてしまう。

どうすればいいのかの出口が簡単には見つからないわけです。だから、解決が遅れるし、相手への怨念だけがたまっていくのです。正直一つもいいことがないんです。